DSM 7.2向けのSynology NASユーザーガイド
第5章:ファイル共有と同期
共有フォルダ
Synologyは、一般的なストレージ用とマルチサイトファイルアクセスの2種類の共有フォルダを提供します。
共有フォルダの作成
共有フォルダは、Synology NASにファイルとフォルダを保存する基本的なディレクトリです。データを共有する前に、少なくとも1つの共有フォルダを作成する必要があります。
プライベートの共有フォルダにデータを保存、あるいはカスタムアクセス許可を設定して特定のユーザーやユーザーグループと共有します。保護のレイヤを加えるには、共有フォルダを暗号化することもできます。
共有フォルダを作成してファイル共有を開始する方法は、共有フォルダを作成してファイル共有を開始のセクションまたは共有フォルダの記事を参照してください。
また共有フォルダは以下の高度なオプションを含んでいます。
- ほぼ一瞬でコピーを作成する共有フォルダのクローニング (Btrfsボリュームでのみ利用可能)。
- 取り出し可能な形で削除したファイルやフォルダを保存する、ごみ箱機能の有効化。
- 共有フォルダの暗号鍵を管理し、複数の共有フォルダを一度に復号化するKey Managerの使用。
- 共有フォルダを WriteOnce で保護します。これは WORM (Write Once, Read Many) テクノロジーを採用してデータへの無許可の変更を防止しています。WriteOnce は、ニーズに最もうまく適合するよう企業モードおよびコンプライアンス モードを提供します。
Hybrid Share フォルダをマウント
Hybrid Share は、Synology NAS のパフォーマンスと C2 Storage (Synology のパブリック クラウド ソリューション) のスケーラビリティを組み合わせたものです。複数の Synology NAS デバイスにあるオンプレミスの Hybrid Share フォルダを共有ファイルにマウントできます。
Synology NAS上でHybrid Shareフォルダをマウントすると、クラウドベースの全データをローカルとして表示でき、もっとも最近アクセスしたファイルだけをローカルサイトにキャッシュできます。Hybrid Share は以下を達成するのに役立ちます。
- マルチサイト ファイル アクセス:同じ Hybrid Share フォルダを複数の Synology NAS デバイスにマウントすることで、一元的に保存されたデータにいつでもどこからでもアクセスできます。
- 災害復旧:C2 Storage にある Hybrid Share のスナップショット機能で、Hybrid Share フォルダを保護してほぼ即時のデータ復元をしてください。
始めるには次の事項が必要です。
- C2 Storage-Advanced プランへのサブスクリプション
- DSM 7.0.1以降のバージョンが動作しているSynology NAS
- Hybrid ShareフォルダをマウントするBtrfsボリューム
- 外部ネットワークへの接続
Hybrid Share フォルダを設定する方法の詳細を参照してください。
暗号化
Synology NASはAES-256暗号を使用し、共有フォルダとHybrid Shareフォルダを不正アクセスから保護します。
- 共有フォルダ:共有フォルダでは暗号化はオプションです。共有フォルダ暗号化の詳細を参照してください。
- Hybrid Shareフォルダ。データ セキュリティを保証するために、データは、C2 Storage に転送される前に NAS 上で常に暗号化されています。Hybrid Shareフォルダのマウント時および復号時には暗号鍵が必要です。C2 Storageにアップロードされている間、およびそこに保存されている間は、データは暗号化されたままになります。Synology Hybrid Share ホワイトペーパーで詳細を参照してください。
権限
共有フォルダとHybrid Shareフォルダでは、自動的にWindows Access Control List (ACL) 許可設定が導入されます。Windows ACLで個々のファイルやサブフォルダに対する許可をカスタマイズすることもできます。
ファイル サービス
SMB、AFP、および NFS
Synology NASをファイル共有センターとして使用するには、その上で SMB、AFP、および NFS ネットワーキングプロトコルを設定します。DSM共有フォルダのファイルをクライアントコンピュータから、ローカルストレージにあるように管理できます。
DSMは、Windows、Mac、およびLinuxデバイスからのシームレスなファイルアクセスを可能にする一般的なプロトコルをほとんどサポートします。
- Windows の場合:SMB/CIFS
- Mac の場合:SMB、AFP
- Linux の場合:NFS、SMB
それぞれのオペレーティングシステムには、そのプラットフォームでもっともよい性能が発揮できる、ネイティブのファイル共有プロトコルがあります。SMBは3つのオペレーティングシステムすべてをサポートしますが、NFSとAFPよりも低速です。それぞれのプロトコルには、異なるセキュリティが備えられています。
1つまたは複数のファイル共有プロトコルを有効にするには、[コントロールパネル] > [ファイルサービス] に進みます。
FTP
FTPは、既知のユーザーまたは匿名ユーザーとファイルを共有する便利な方法です。ユーザーは、自身のコンピュータからWebブラウザやFTPクライアントを用いてFTPサーバーにアクセスできます。転送時のセキュリティは、FTP over SSL (FTPS) やSSH FTP (SFPT) で高めることができます。
FTPの詳細を参照してください。
File Station
File Stationは、ユーザーがファイルを簡単にアクセスし、管理するための組み込みのファイルマネージャーです。カスタマイズ可能なアクセス許可と一時的な共有リンクで、安全にファイルを共有します。写真、歌およびバックアップなどを含むファイルをすべて一元化して見ることができます。
File Stationで行えること:
- リモートフォルダやパブリッククラウドストレージをFile Stationにマウントし、ファイルアクセスを集中化。
- 非DSMユーザーが、ファイルをSynology NASにアップロードするためのファイルリクエストを作成。
- それに付随するモバイルアプリケーションであるDS fileで、どこからでもファイルにアクセス。
- ファイルのロック、保持期間の延長、ロック状態の変換など、ファイルへのWriteOnce設定の適用と変更。
File Stationの詳細を参照してください。
Synology Drive Server
Synology Drive Serverは、ファイルを管理し、他者との共有と共同作業が容易に行えるようにする総合的なファイル管理・コラボレーションソリューションです。そのパッケージには、Synology Drive Admin Console、Synology Drive、およびSynology Drive ShareSyncという3つのコンポーネントが含まれます。
Synology Drive Admin Consoleで管理者はチーム フォルダを指定し、クライアント接続をモニターし、サービス設定を管理することができます。Synology Drive ウェブ ポータルでユーザーはファイルおよびフォルダを閲覧、管理、共有し、そして他者との共同作業を行うことができます。Synology Drive ShareSync は複数の Synology NAS 全体で Synology Drive のファイルを同期するためのアプリケーションです。
Synology Driveにはデスクトップユーティリティの Synology Drive Client とモバイルアプリが付属します。これらのアプリケーションは、主要なプラットフォームすべてで利用可能です。
Synology Driveでできること:
- ローカルファイルのバックアップ:クライアントデバイス上のファイルの同期とバックアップ。
- バージョン コントロール:ファイルあたり32バージョンまでを保持。Synology DriveのIntelliversioningは、もっとも重要な変更を保持できるようにします。
- オフラインアクセス:クライアントデバイスがオフラインの場合でも、アクセスの可能性を維持するために、クライアントデバイスに重要なファイルをピン留めします。
- マルチサイト交換:複数のサイト間でファイルやフォルダを同期し、ローカルアクセスをシンプルにし,オフィス間でのファイルの共同作業を強化します。これはファイルにさらなる冗長性も加えます。
- リアルタイムの共同作業:Synology OfficeおよびSynology Chatと統合することで、生産性を向上させます。ドキュメント、スプレッドシート、スライドを用いた共同作業、および仕事をしながらディスカッションを開始できます。
Synology Drive Serverの詳細を参照してください。
Cloud Sync
Synology NASをGoogle DriveやDropbox、その他のパブリッククラウドサービスに接続し、Cloud Syncで自分専用のハイブリッドクラウドを作ります。片方向か双方向を選び、プライベートNASとパブリッククラウドの間でデータをバックアップあるいは同期します。
Synology NASからパブリッククラウドに、あるいはその逆でデータをバックアップするには、片方向同期を使用します。同期先サイトでのファイルへの変更は、ソースには反映されません。
一方、双方向同期は、Synology NASとパブリッククラウドのファイルを完全に同一に保ち、両方で自動的に変更のアップロードとダウンロードを行います。
1つのフォルダは複数のパブリッククラウドと同期でき、ファイルのバックアップを複数作るために同じクラウドにある複数のアカウントと同期できます。Synology NASあるいはパブリッククラウドのどのファイルをどちらの方向で同期するかを選択できます。
クラウド上のファイルへの不正アクセスを防止するため、動悸されるファイルをAES-256暗号で保護できます。
同期タスクのスケジュールや、トラフィックの上限を定めたり、使用されるシステムリソースを制限することで、Cloud Syncが他のアプリケーションやプロセスに影響を与えることを防止できます。
Cloud Syncの詳細を参照してください。
関連項目:
WebDAV
WebDAV (Web ベースの分散オーサリングとバージョン管理) は、リモートサーバー上に保存したファイルをユーザーが管理できるようにするHTTPプロトコルの拡張版です。Windows File Explorer、macOS Finder、そしてLinuxファイルマネージャーの多くがWebDAVをサポートします。
WebDAV Serverをセットアップした後、Windows、macOS、Linuxデバイスの共有フォルダをマウント、アクセスできるようになります。
WebDAVには、他のファイルアクセスプロトコルにはない次のような利点があります。
- CIFS/SMB over VPNよりも高い性能
- クライアントデバイス上のファイル編集をサポート
- HTTPSのセキュリティを活用可能