SSD キャッシュ
SSD キャッシュは、頻繁にアクセスするデータを SSD キャッシュに保存することにより、ランダム アクセスの性能を高めることができます。SSD キャッシュは一度に1つのボリュームにしかマウントできません。
SSD キャッシュを有効にする目的は、ストレージ スペースで頻繁にアクセスする小さいデータ部分へのランダムアクセスの性能を高めることです。たとえば、大きいシーケンシャル読み書き操作(HD ビデオ ストリーミングなど)と、データのランダム読み取りパターン全体の両方には再読み取りパターンがないため、SSD キャッシングの利点をあまり受けません。一般的なアプリケーションでは、[シーケンシャル I/O を省略する] オプションを有効にして、シーケンシャル I/O がストレージ スペースのドライブにパススルーするようにします。
注:
- SSD キャッシュは特定のモデルでのみ利用可能です。SSD キャッシュをサポートするモデルについては、こちらをご覧ください。
- 互換性の問題を回避するため、当社は Synology Unified Controller (Synology 製品互換性リスト をチェック) と互換性のある SSD を使用することを推奨します。互換性のない SSD を使用すると、システムのパフォーマンスが低下し、データの損失が生じることがあります。
- Synology Unified Controller で使用できる SSD キャッシュの最大サイズについては、Synology のホームページでご使用モデルの製品仕様をご確認ください。
- SSD キャッシュをマウントする場合、キャッシュおよびそれに対応するボリュームは同じデバイスに作成されなければなりません。
SSD キャッシュ タイプ
SSD キャッシュには2つのタイプがあり、どちらも LRU (Least Recently Used) アルゴリズムを導入してキャッシュのデータを入れ替えます。
- [読み取り電用キャッシュ] は 1 台から 6 台の SSD から構成できるほか、RAID 0、RAID 1、または RAID 10 のキャッシュ RAID タイプに設定することで、それがマウントされているストレージ スペースのランダム読み取りパフォーマンスを向上させることができます。
- [読み取り/書き込みキャッシュ] は 1 台から 6 台の SSD から構成できるほか、RAID 1、RAID 5、RAID 6、または RAID 10 のキャッシュ RAID タイプに設定することで、それがマウントされているストレージ スペースのランダム読み書き速度を向上させることができます。
注:
- SSD 読み取り専用キャッシュは、ボリュームからデータのコピーを保存します。したがって、読み取り専用キャッシュがクラッシュしたとしても、データは消失しません。
- SSD の読み書きキャッシュが劣化した場合、自動保護メカニズムが有効化されます。これは、新しい IO のキャッシュを停止し、SSD から HDD に既存の新しいデータの書き込みを開始します (すなわち、同期)。データの同期が完了したら、読み書きキャッシュがクラッシュしたとしてもデータは消失しません。
- 通常の状況では、SSD の読み書きキャッシュは、まだ HDD と同期していない新しいデータを含んでいます。最初に適切に SSD キャッシュを ストレージ マネージャー から取り外してから (たとえシステムの電源がオフになっていても)、SSD を Synology Unified Controller から取り外します。そうでないと、ボリュームがクラッシュすることがあります。
許容できる合計キャッシュ サイズ
許容できる合計キャッシュ サイズは以下の要因により影響を受けます。
- デバイスでサポートされた合計キャッシュ サイズの制限。モデルの仕様を参照してください。
- システムに十分なフリー メモリがあるかどうか。
注:
- 上記の要因のためこれ以上 SSD キャッシュを作成できなくなると、システムがポップアップ通知を送ってきます。
メモリ要件
メモリ要件は CPU of your Synology Unified Controller の CPU によって異なります。どの CPU が Synology Unified Controller で使用されているかを確かめるには、こちらを参照してください。
Alpine CPU のモデルの場合:
1 GB の SSD キャッシュ毎に、約 416 KB のシステム メモリが必要です(拡張可能なメモリも数えられます)。最大キャッシュサイズは 930 GB です。したがって、読み取り専用のキャッシュが 128 GB の SSD 2 台で構成されている場合は、合計のキャッシュサイズが 256 GB になり、最低でも 104 MB のメモリが必要になります。書き込み専用のキャッシュが 128 GB の SSD 2 台で構成されている場合は、合計のキャッシュサイズが 128 GB になり、最低でも 52 MB のメモリが必要になります。メモリが不足している場合、SSD キャッシュの構築が制限されるか、SSD キャッシュのサイズが制限されます。
その他のモデルの場合:
SSD キャッシュはキャッシュ サイズに応じて一定の量のシステム メモリを必要とします。そのため、大容量の SSD キャッシュを使用する場合は、Synology Unified Controller のメモリをアップグレードする必要があるかもしれません。システムを安定させ、速度を維持するためには、SSD キャッシュに使用できるあらかじめ搭載されたシステム メモリはわずか 1/4 です。
1 GB の SSD キャッシュ毎に、約 416 KB のシステム メモリが必要です(拡張可能なメモリも数えられます)。
注:これは、DSM 5.1 またはそれ以前のバージョンで作成された読み書き SSD キャッシュには該当しません。つまり、DSM 5.2 環境で使用していたとしても、DSM 5.2 以前のバージョンで作成された SSD キャッシュ 1 GB ごとに、4 MB のシステムメモリが必要となると言うことです。
したがって、読み取り専用のキャッシュが 128 GB の SSD 2 台で構成されている場合は、合計のキャッシュサイズが 256 GB になり、最低でも 104 MB のメモリが必要になります。書き込み専用のキャッシュが 128 GB の SSD 2 台で構成されている場合は、合計のキャッシュサイズが 128 GB になり、最低でも 52 MB のメモリが必要になります。メモリが不足している場合、SSD キャッシュの構築が制限されるか、SSD キャッシュのサイズが制限されます。
キャッシュのヒット率
SSD キャッシュはデフォルトではランダム I/O だけを高速化し、シーケンシャル I/O は高速化しません。SSD キャッシュのキャッシュ ヒット率は次の式で計算できます。
- SSD 読み取り専用のキャッシュのヒット率 = 高速化されたランダム読み取りカウント / 総ランダム読み取りカウント * 100%
- SSD 読み取り書き込みのキャッシュのヒット率 = 高速化されたランダム読み取り&書き込みカウント / 総ランダム読み取り&書き込みカウント * 100%
SSD キャッシュの管理
SSD キャッシュをマウントする:
- Synology Unified Controller に SSD をインストールします。上記の注意をお読みください。
- [ストレージ マネージャ] > [SSD キャッシュ] を選択します。[作成]をクリックします。
- キャッシュ モードを選択します(読み書きキャッシュに対応するモデルでのみ使用できます)。
- ドロップダウン メニューで、SSD キャッシュをマウントしたいボリュームを選択します。
- リストから SSD を選択します。SSD に保存されたデータは消去されますので、重要なデータが削除されないようにしてください。
- [適用] をクリックします。
注:
- SSD キャッシュが 安全なストレージ プール のボリュームにマウントされる場合:
- SED のみを選択できます。
- 安全な SSD キャッシュが作成されます。
- SSD キャッシュが 一般的なストレージ プール のボリュームにマウントされる場合:
- 認証によって保護されていない SED のみを選択できます。
- 通常の SSD キャッシュが作成されます。
シーケンシャル I/O のキャッシングを停止する:
ターゲット ボリュームのシーケンシャル I/O の性能が良い場合は、SSD キャッシュがシーケンシャル I/O をキャッシングするのを停止させて、ドライブから直接データにアクセスさせると、速度を上げ、性能を高めることができます。
- [構成] をクリックして構成ウィンドウを開きます。
- [シーケンシャル I/O は省略する] にチェックマークを付けます。
SSD キャッシュを取り外す:
- [削除] をクリックすると、この SSD キャッシュを Synology Unified Controller から完全に削除できます。
注:
- 読み書きキャッシュの場合は、この手順で削除しなければ(Synology Unified Controller の電源が切ってあったとしても)、キャッシュにしか部分データが存在しないため、ボリュームがクラッシュします。
- ブートアップ時にストレージ スペースの読み書きキャッシュが検出されなければ、システムはそのストレージ スペースをマウントしません。Synology Unified Controller で SSD を検出して再インストールし、ストレージ スペースをマウントするためにリブートしてください。
- 関連の SSD を取り外す前に、読み書き SSD キャッシュを適切に削除するようにしてください。SSD を不適切に取り外すと(例:キャッシュが使用中またはシステムがオフになっているときなど)、ターゲット ボリュームに保存されているデータがクラッシュします。
SSD キャッシュの取り外しをキャンセルする方法:
- [削除をキャンセル] をクリックして、キャッシュを取り外す操作をキャンセルします。
SSD キャッシュを修復する:
- 読み書きキャッシュ:SSD の 1 台がクラッシュした場合は、次の手順にしたがって修復してください。
- 故障した SSD を新しいディスクと交換します。
- [修復] ボタンをクリックします。
- リストから SSD を選択します。
- [適用] をクリックします。
- 読み取り専用キャッシュ:
- RAID 0 構成のいずれかの SSD がクラッシュした場合は、キャッシュを削除し、不具合のある SSD を交換してから新しいキャッシュを作成してください。
- RAID 1 または RAID 10 構成のいずれかの SSD がクラッシュした場合は、不具合のある SSD を交換してからキャッシュを修復します。
注:
- 安全な SSD キャッシュでは SED のみを選択できます。
- 通常の SSD キャッシュでは、認証で保護されていない SED のみを選択できます。
SSD キャッシュの故障した SSD を交換する方法:
SSD キャッシュの RAID 構成が冗長性をサポートしている場合には、SSD キャッシュの故障した SSD を交換することができます。
- [Storage Manager] > [HDD/SSD] を選択します。
- [無効化] をクリックして故障した SSD を無効化します。
- 故障した SSD を新しい SSD と交換し、[修理]をクリックします。
- リストから SSD を選択します。
- [適用] をクリックします。
SSD キャッシュのサイズを拡張する:
オリジナルの SSD キャッシュを取り除き、次に、より大きいサイズの SSD で新しい SSD キャッシュを作成します。