SSD キャッシュの作成
ボリュームに SSD キャッシュを作成してマウントすることで、ランダム アクセスのパフォーマンスを向上させることができます。
用語集
SSD キャッシュ グループ
SSD キャッシュ グループは、複数のボリューム上でキャッシュ作成をサポートし、SSD をより柔軟に管理できるようにします。キャッシュ グループ容量を割り当てて、ひとつまたは複数の SSD キャッシュを作成することができます。
SSDキャッシュ
利用可能なモードには2つのタイプがあり、どちらも LRU (Least Recently Used) アルゴリズムを導入してキャッシュのデータを入れ替えることができます。
- 読み取り専用キャッシュには、頻繁に読み取るデータを格納し、ランダム読み取りパフォーマンスを高速化するために1つ以上の SSD が必要です。キャッシュに保存されたデータは、ボリュームからのデータのコピーです。これにより SSD 不具合の場合にデータ ロスが起こらないようにすることができます。
- 読み取り書き込みキャッシュには、フォールト トレランスのために少なくとも2台の SSD が必要です。このモードにおいて、データは SSD に最初に書き込まれます。これによりデータ アクセス速度が加速され、かつランダム読み取り/書き込みパフォーマンスが改善されます。
注:
- 1つのストレージ プールあたり1つのキャッシュ グループのみ、そして1つのボリュームあたり1つの SSD のみが存在できます。
はじめる前に
ドライブの要件
- 健全なステータスにある SSD を使用してください。
- 1つのキャッシュ グループ当たり6個の SSD まで使用できます。
- すべてが SATA あるいはすべてが SAS という具合に、同じドライブ タイプの SSD を使用してください。
- SSD は Synology NAS と互換性があるもので、かつSynology 製品互換性リストに載っているものを使用することを推奨します。リストにない SSD を使用すると、システムの安定性に影響を及ぼしてデータを損失する可能性があります。
注:
- SSD インストールの指示に関して、Synology NAS モデルの製品マニュアルを参照してください。
ボリューム要件
- SSD キャッシュをマウントするボリュームは正常な状態でなければなりません。
- SSD キャッシュをマウントするボリュームは他のタスクを実行できません。
メモリ要件
- 1 GB の SSD キャッシュ毎に、約 400 KB のシステム メモリが必要です(拡張可能なメモリも数えられます)。例:
- 読み取り専用のキャッシュが2つの SSD (それぞれ 128GB) で構成されていて、RAID タイプが RAID 0 の場合、そのサイズの合計は 256GB になり、少なくとも 100MB のメモリが必要になります。
- 読み取り/書き込みのキャッシュが2つの SSD (それぞれ 128GB) で構成されていて、RAID タイプが RAID 1 の場合、そのサイズの合計は 128GB になり、少なくとも 50MB のメモリが必要になります。
- キャッシュ サイズが大きいほど、システム メモリが多く必要になります。しかし、Synology NAS の安定性を維持するために、システムは、SSD キャッシュの作成にプリインストールされたシステム メモリの 25% までのみを使用します。
- 大容量の SSD キャッシュを作成する場合は、Synology NAS のメモリをアップグレードする必要があります。
最大キャッシュ サイズ:
- Alpine CPU を使用する Synology NAS モデルの場合、最大キャッシュ サイズは 930GB です。
- その他の Synology NAS モデルの場合、最大キャッシュ サイズは 127 TB となります。
SSD キャッシュの作成
開始する前にセクションを既にチェックしたかどうかを確かめて、1つ以上の SSD をインストールしたことを確認してください。
キャッシュ グループとSSD キャッシュを作成する:
ターゲット ボリュームのストレージ プールにまだキャッシュ グループがない場合、キャッシュ グループと SSD キャッシュの両方を作成するようガイドされます。
- [ストレージ マネージャー] > [ストレージ] を選択します。
- [作成] > [SSD キャッシュを作成] をクリックします。
- SSD キャッシュをマウントするボリュームを選択します。
- SSD キャッシュのキャッシュ モードを選んで、[次へ] をクリックします。
- RAID タイプを選択し、[次へ] をクリックします。これは、キャッシュ グループ容量を使用して作成された、キャッシュ グループおよびすべての SSD キャッシュに適用されます。
- 1つまたは複数の SSD を選択してキャッシュ グループを作成します。[次へ] をクリックする前に、新しく追加された SSD が重要なデータを含んでいないことを確認してください。これらのデータはすべて消去されます。
- 必要に応じてキャッシュ グループ容量を割り当ててから、[次へ] をクリックします。
- SSD キャッシュに容量のすべてを割り当てたい場合は、[最大] ボタンをクリックしてください。
- 容量の一部を SSD キャッシュに割り当てたい場合、数字を [割り当てられた容量を修正] 欄に入力してください。後でより多くの SSD キャッシュを作成するために残りの容量を使用することができます。
- 設定を確定し、[適用] をクリックします。
注:
- ターゲット ボリュームのストレージ プールが DSM 7.1 以前に作成された SSD キャッシュを含んでいる場合、それを最初に削除する必要があります。
- ターゲット ボリュームのストレージ プールが既にキャッシュ グループを含んでいる場合、SSD キャッシュを作成するためにそのキャッシュ グループからの容量のみを使用することができます。
- キャッシュ グループが拡張ユニットの SSD を使用する場合は、拡張ユニットを取り外さないでください。取り外すとキャッシュ グループおよび対応するボリュームがクラッシュしてデータ ロスを生じさせるかもしれません。
SSD キャッシュを作成するためにキャッシュ グループの容量を割り当てる:
ターゲット ボリュームのストレージ プールに既にキャッシュ グループがある場合、キャッシュ グループの容量を割り当ててさらに多くの SSD キャッシュを作成するけることができます。
- [ストレージ マネージャー] > [ストレージ] を選択します。
- [作成] > [SSD キャッシュを作成] をクリックします。
- SSD キャッシュをマウントするボリュームを選択します。
- SSD キャッシュのキャッシュ モードを選んで、[次へ] をクリックします。
- 必要に応じてキャッシュ グループ容量を割り当ててから、[次へ] をクリックします。
- SSD キャッシュに容量のすべてを割り当てたい場合は、[最大] ボタンをクリックしてください。
- 容量の一部を SSD キャッシュに割り当てたい場合、数字を [割り当てられた容量を修正] 欄に入力してください。後でより多くの SSD キャッシュを作成するために残りの容量を使用することができます。
- 設定を確定し、[適用] をクリックします。
注:
- キャッシュ グループの容量を拡大するために、追加の SSD を加える か、または既存のものをより大きな容量の SSD と交換することができます。
- 読み取り/書き込みキャッシュが劣化した場合、自動保護メカニズムが有効化されます。このメカニズムは、新しいデータが劣化した読み取り/書き込みキャッシュに書き込みされるのを防ぎ、対応するボリュームに既存のデータを戻すための書き込みを開始します (すなわち、同期する)。データの同期が完了したら、読み取り/書き込みキャッシュがクラッシュしたとしてもデータは消失しません。
- 既存の読み取り/書き込みキャッシュが起動時に検出されない場合、システムはそれに関連したボリュームをマウントしません。これを解決するには、Synology NAS に読み取り/書き込みキャッシュの元の SSD がインストールされていることを確認して、システムを再起動してください。
SSD キャッシュ設定を修正
[すべての Btrfs metadata を SSD キャッシュにピン留め] を有効化:
すべての Btrfs metadata を SSD キャッシュにピン留め機能は、ファイルへの定期的な再書き込みを行う動作 (例えば、古いデータの一括削除、Active Backup での操作、Hyper Backup、およびスナップショットなど) のパフォーマンスを改善するように設計されています。
- [ストレージ マネージャー] > [ストレージ] を選択します。
- 設定を修正する SSD キャッシュを見つけてください。その
省略アイコンをクリックしてください。
- [構成] を選択します。
- [すべての Btrfs metadata を SSD キャッシュにピン留め] のチェックボックスを選択します。
- [保存] をクリックします。
注:
- 選択された SSD キャッシュが読み取り/書き込みキャッシュで、Btrfs ボリュームにマウントされている場合にのみ、この機能が利用できます。
- この機能には、大きな SSD キャッシュ サイズが必要です。
[SSD キャッシュ グループが冗長性によって保護されていない場合に限って、対応するボリュームにデータを書き戻します] を有効化するには:
この機能は、キャッシュ グループが劣化しているが、まだ冗長性で保護されている場合に、自動保護メカニズムがアクティブ化するのを防ぎます。これは、システム パフォーマンスへのインパクトを最小化するのを支援しますが、データの保護レベルは低くなります。例えば、構成された RAID タイプが RAID 6 (2 つの SSD の故障に耐えられる) で 1 つの SSD のみが故障した場合、保護メカニズムはアクティブ化しません。
- [ストレージ マネージャー] > [ストレージ] を選択します。
- 設定を修正するキャッシュ グループを見つけてください。そのストレージ プールの
省略アイコンをクリックしてください。
- [設定] を選択します。
- [SSD キャッシュ グループ用の自動保護メカニズム] セクションに進み、[SSD キャッシュ グループが冗長性によって保護されていない場合に限って、対応するボリュームにデータを書き戻します] チェックボックスを選択します。この設定は、同じキャッシュ グループ内のすべての SSD キャッシュに適用されます。
- [保存] をクリックします。
SSD キャッシュを削除
キャッシュ グループを削除:
キャッシュ グループを削除するには、あるいは Synology NAS からいずれかの SSD を取り外すには、最初にキャッシュ グループから容量を割り当てる SSD キャッシュをすべて削除する必要があります。
- [ストレージ マネージャー] > [ストレージ プール] の順に移動し、削除するストレージ プールを選択します。
- その SSD キャッシュのうちの1つに進み、SSD キャッシュの
省略アイコンをクリックしてください。
- [削除] を選択してください。
- キャッシュ グループの SSD キャッシュをすべて削除するまで、ステップ2および3を繰り返してください。
対応する SSD キャッシュがすべて削除されたら、キャッシュ グループはその後 [ストレージ] ページに現われません。
SSD キャッシュを取り外す:
もはや必要のなくなった SSD キャッシュを削除することができます。
- [ストレージ マネージャー] > [ストレージ] を選択します。
- 削除する SSD を見つけます。その
省略アイコンをクリックしてください。
- [削除] を選択してください。
削除のプロセスが完了すると、SSD キャッシュは [ストレージ] ページに現われません。
注:
- 通常の状況では、読み取り/書き込みキャッシュは、ボリュームとまだ同期していない新しいデータを含んでいます。その SSD のうちのいずれかを取り外すと (たとえ電源オフの場合でも)、それはボリューム クラッシュの原因になることがあります。これを回避するには、Synology NAS から SSD を取り外す前に、安全に SSD キャッシュを削除してください。